「へしこ」は若狭や越前・丹後地方の魚類の保存食です。
石川県以北では「小糠漬け」と呼ばれる製法で、冬・寒の時期に鯖(さば)や鰯(いわし)等を背割りして、塩漬けにし、その後糠と調味料を合わせた(しえ)というものに漬け込んで夏の土用を越し、半年以上発酵熟成されたものを言います。
若狭地方で「へしこ」と呼ばれるには色々と諸説がありますが、大きな樽(4斗)に鯖やいわしをギュギュッと敷き詰め込むことを「へ仕込む」と言ったことから「へしこ」と名付けたらしいですが、これが通説となっています。
若狭美浜町の「へしこ」が名物で特に美味しいと言われます。
昔は漁師の家でなくても、どの家庭にも「へしこ」の樽が大根の沢庵と同じように、納屋にあったものですが モノが豊富になかった時代、保存食として根付いただでなく、物々交換のように、いただきもののお返しに家庭の味がやり取りされたために、「お母ちゃん」達がその家その家、独特の味を追求し工夫され、熟成した旨味が増すよう、進化したのが現在の「美浜のへしこ」です。
(※美浜のへしこに使用される鯖は現在、漁獲高の都合や味の一定化を保つため、ノルウェー産を使用されるのが一般的となっております。)